「自宅の売却を何度か繰り返しているけれど、これって違法になるのだろうか」
そう感じたことはありませんか?
不動産売却を複数回行っている方の中には、知らぬ間に「宅地建物取引業法」に違反するケースもあります。特に反復継続的な売買行為は、免許を持たない個人が行えば宅建業法違反に該当する可能性があり、懲役や罰金といった重い罰則を受けるリスクも否定できません。
国土交通省が定めるガイドラインでも「反復継続性があるかどうかは、売却の回数、期間、目的、利益性などを総合的に判断する」とされており、1回きりの取引でもその背景によっては違法とみなされる可能性があるのです。
本記事では、反復継続とはどういう意味か、そして不動産取引が違反にならないためのポイントなどについてわかりやすくまとめました。
株式会社アイホームは、不動産売買・仲介・賃貸管理を主な業務として、お客様の多様なニーズにお応えしております。特に不動産売却においては、経験豊富なスタッフが物件の査定から売却活動、契約手続きまで丁寧にサポートいたします。また、税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナー、相続診断士とも連携し、税務や法律に関するご相談にも対応可能です。お客様の大切な資産の売却を安心してお任せいただけるよう、全力でサポートいたします。
株式会社アイホーム | |
---|---|
住所 | 〒657-0029兵庫県神戸市灘区日尾町1丁目2-9 |
電話 | 078-200-5533 |
「反復継続」の宅建業法における意味と背景
「反復継続」という言葉は、日常生活で馴染みの薄いものかもしれませんが、不動産の取引を行ううえでは避けて通れない重要な法律概念です。この言葉は、宅地建物取引業法(宅建業法)において「業として」不動産の取引を行っているかどうかの判断に深く関わっています。特に個人が不動産を繰り返し売却する場合、それが営利目的であれば「業としての取引=宅建業」に該当し、宅建業の免許が必要になります。
宅建業法第2条において「宅地建物取引業」とは、「宅地または建物について、自己の計算において売買、交換または貸借の取引を反復継続して行うこと」または「他人の物件の売買等を代理または媒介すること」と定義されています。つまり、反復継続的に不動産売却を行えば、免許なしでは違法行為となる可能性があります。
この反復継続性の判断基準は、売却件数だけで決まるわけではありません。短期間で複数件売却しているか、売却益を得ることを主目的としているか、営利性があるかなど、複数の要素を総合的に判断されます。国土交通省や宅建協会なども、具体的なケースに応じて注意喚起を行っており、知らなかったでは済まされない重大な法的リスクをはらんでいます。
さらに、違反と判断された場合には、以下のような罰則が科される可能性があります。
違反内容 | 想定される罰則 | 関連法令 |
無免許で反復継続的に売却 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 | 宅建業法第11条、第12条 |
業者であることを隠して仲介行為 | 業務停止処分、業務禁止命令など | 宅建業法第65条、第66条 |
名義貸し行為(免許業者が肩代わり) | 免許取消、刑事罰の対象 | 宅建業法第13条、第72条 |
こうした規定は、不動産取引における公正性や安全性を確保するためのものであり、買主・売主の保護を目的としています。実際には、相続や住み替えなど、事情があって複数の不動産を短期間で売却することもありますが、その場合でも「営利性」が疑われれば調査の対象になることがあります。
反復継続という言葉の背後には、違法行為とされる可能性のある重大な判断基準が潜んでおり、個人の売却であっても十分に注意を払う必要があります。
不動産売却が反復継続とみなされる基準について
売却回数と期間の目安
不動産を売却する際、件数や期間によっては宅建業法で定められた「反復継続性」が問われる場合があります。これは単なる回数の問題ではなく、売却の目的や頻度、取引の内容といった複数の条件が関与するため、単純な件数のカウントでは判断できません。しかし、行政や宅地建物取引業者の判断実務においては、ある程度の目安や傾向が存在しています。
まず、一般的に「1年以内に3件以上の売却を行った場合」は反復継続性があると見なされやすくなります。特に短期間に連続して不動産を処分した場合には、個人であっても「事業的な行為」と評価される可能性が高まります。
「何件売却したか」だけでなく、「どれくらいの期間にわたって」「どのような目的で」売却したかがポイントになります。例えば、相続によって複数の物件を取得し、短期間に3件以上を売却した場合でも、営利目的でなければ反復継続に該当しないと判断されるケースもあります。一方で、明らかに転売益を目的として購入・売却を繰り返していると判断されれば、2件程度でも行政指導の対象となる可能性があります。
売却件数と期間が反復継続と評価されるか否かの境界線は、固定された数値ではありません。しかし、行政の実務、判例、宅建協会の通達などから見えてくる共通の傾向を理解し、自身の売却行為がどの位置にあるかを冷静に見極めることが、法的リスクを避ける第一歩となります。
法律上の判断要素と根拠
宅建業法において、個人の不動産売却行為が「業としての行為」に該当するかどうかを判断する際、いくつかの具体的な要素が参照されます。この判断は、単に件数や頻度だけでなく、法的な定義や目的性、取引手法などを総合的に評価することでなされます。宅建業法に基づく判断基準は、以下のような項目に基づいています。
判断要素 | 解説 |
営利性 | 利益を目的とした継続的売却行為は、業としての性質を持つ |
継続性・反復性 | 期間を空けずに売却を繰り返している場合に該当しやすい |
広告の有無 | SNSや不動産サイトへの掲載など、不特定多数への訴求が見られる場合 |
物件数 | 一度に複数の物件を扱う場合、事業性が高いと判断されやすい |
自己所有か否か | 自身が所有していない物件の売買に関わると、宅建業者と見なされる可能性あり |
他人の売買への関与 | 媒介・代理行為が見られると、宅建業に該当する可能性がある |
上記の要素は、宅建業法第3条や関連通達、過去の行政処分事例などに基づいて判断されており、免許を持たない個人がこれらに該当する行為を行った場合、無免許営業として罰則の対象になることがあります。具体的には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という厳しい刑事罰が科される場合もあります。
反復継続性があるかどうかの判断に際し、「業としての行為」とみなされるかは、以下のような条件の積み重ねで判断される傾向があります。
- 定期的な取引が過去に複数回存在する
- 転売益や節税を明確な目的としている
- 仲介会社を通じていない個別対応の取引が多い
- 価格交渉や販売活動を自ら積極的に行っている
- 買主が不特定多数である
特に「買主が不特定多数である」「自己物件以外も扱っている」といったケースは、宅建業法違反として扱われやすいため注意が必要です。自己所有の物件であっても、継続的に市場に出していれば、名目上「営業している」と見なされる可能性があるため、個人売主の立場であっても過信は禁物です。
現在、不動産市場の流動性が高まり、副業や資産運用目的での売買も増加しています。こうした背景から、宅建業法に基づく行政の監視も厳格化しており、従来よりも広範囲な取引が調査対象となる傾向にあります。
不動産売却に関する法的な判断は複雑であり、個人の取引でも宅建業と判断されることがあります。もし不安や疑問がある場合は、弁護士や行政書士など不動産法務に詳しい専門家に相談することが重要です。明確な意図と根拠を持って取引に臨むことで、リスクの回避と健全な運用が可能となります。
反復継続と判断された場合の影響について
宅建業法違反とされる可能性
不動産を個人で売却する際、複数回の売却行為が「反復継続」と判断されると、宅地建物取引業法に違反しているとみなされる可能性が出てきます。宅建業法違反は、行政処分だけでなく刑事罰の対象となるため、知らずに違反してしまうリスクは非常に重大です。特に副業や資産整理の一環で複数回にわたって不動産を売却している場合、自分では問題がないと考えていても、法的に「業として」の行為に該当してしまう可能性がある点に注意が必要です。
宅建業法の第3条では、「業として」宅地または建物の売買・交換・貸借、またはそれらの代理や媒介を行う場合には、都道府県知事または国土交通大臣の免許が必要であると規定されています。この「業として」の判断に使われる基準の一つが「反復継続性」であり、以下のような要素が重なることで違反の認定に至るケースが増えています。
反復継続と判断される主な要素は次のとおりです。
判断項目 | 内容例 |
売却回数 | 年間3件以上の売却がある場合は要注意 |
売却期間 | 短期間に集中して売却している(半年以内に2件など) |
売却目的 | 利益獲得や節税など、営利目的が明確である |
広告出稿 | 自ら広告を出して買主を募っている |
他人との媒介関係 | 親族以外や不特定多数への継続的な取引が行われている |
使用物件の性質 | 空き家や投資用物件など、生活に直結しない物件が中心 |
上記の条件に一つでも該当する場合、個人での売却行為であっても宅建業として認定される可能性があり、免許を持たずに行っている場合は「無免許営業」として重い処罰の対象になります。
実際に、行政処分事例では以下のようなケースが報告されています。
- 空き家を2年で5件売却していた個人が、無免許営業とされ行政指導を受けた。
- 転売目的で購入した区画整理地を短期間で3件売却し、宅建業法違反で罰金刑が科された。
- 知人の依頼で複数回にわたり仲介行為をした個人が、媒介行為とみなされ処分対象となった。
宅建業法違反に問われた場合、行政罰としては業務停止命令や指導処分などが課されることがあります。さらに重い場合は、刑事罰の対象として「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性があるため、非常に深刻な問題となります。
違反リスクを最小限に抑えるためには、以下の点を意識しておくことが有効です。
- 年間の売却件数を計画的に抑える
- 同一の物件種別を短期間で複数回売却しない
- 売却目的を明確に記録し、必要であれば証明できる資料を残す
- 不安がある場合は不動産会社または行政窓口に事前相談する
不動産取引は金額も大きく、トラブルが発生した場合の影響も広範囲に及ぶ可能性があります。したがって、反復継続性が疑われるような売却行為を行う際には、宅建業法の条文や行政の通達に目を通し、自分の行動が該当するかを慎重に検討する必要があります。
免許がない個人の対応範囲
宅地建物取引業の免許を持たない個人が不動産売却を行うこと自体は違法ではありません。ただし、それはあくまで「業としての取引」に該当しない範囲であることが条件となります。つまり、自己使用目的の不動産を一時的に処分する、相続した物件を売却する、生活上の事情によりやむを得ず売却する場合などは、免許がなくても問題はありません。
しかし、不動産売却の頻度や売却形態によっては「反復継続的」であり、「業として」の活動と判断される可能性が出てきます。その場合、免許のない個人が取引を継続すれば宅建業法違反となります。では、具体的にどこまでが免許のない個人に許される取引範囲なのかを以下に整理します。
行為内容 | 免許の要否 | 注意点 |
自宅の売却(生活用住宅) | 不要 | 一度限り、または非営利目的であれば基本的に問題なし |
相続した実家の売却 | 不要 | 節税目的でないこと、複数回繰り返さないことが重要 |
投資目的で購入したマンションの短期転売 | 必要となる可能性あり | 繰り返し行えば「業」とみなされる可能性が高い |
他人の不動産売買の仲介 | 必要 | 仲介や代理行為は免許がない限り原則禁止 |
空き家を取得しリノベーション後に売却する行為 | 高リスク | 営利目的かつ継続的であれば免許が必須となる可能性がある |
個人であっても、売却の件数が増える、または事業性のある行為が見られる場合には、無免許営業と判断されることになります。さらに、不特定多数の相手と繰り返し売買を行うなどの場合には、完全に宅建業者と同等の対応を求められるため、事前にリスクを十分に把握しておく必要があります。
無免許のまま誤って営業行為に該当してしまうと、以下のような重大な不利益が発生するおそれがあります。
- 売買契約の有効性が問われ、無効と判断される可能性
- 損害賠償請求の対象となるケース
- 刑事罰や行政処分(業務停止命令、指導処分等)
不動産業に関わらずとも、物件を複数保有している人や、相続や投資の一環で短期売却を検討している人にとっては、個人の判断で動くのは非常に危険です。
不安を感じた場合、各都道府県の宅建業監督課や宅建協会などが提供している無料相談窓口の利用が推奨されます。さらに、弁護士や行政書士など法律の専門家に相談し、自身の売却活動が免許の要否に抵触していないかを確認することで、事前にリスクを避けることが可能です。
宅建業法に関する理解が不十分なまま活動を進めると、思わぬところで違反行為とみなされることがあるため、正確な情報に基づく判断と慎重な行動が求められます。免許を持たない個人であっても、安全・適法に不動産を売却するための知識と準備が不可欠です。
反復とされないための注意点について
宅建業者へ依頼する際の考慮点
不動産売却を検討する際、「自分で売るか」「宅建業者へ依頼するか」は大きな判断材料となります。特に反復継続と判断されることを避けたい場合、宅建業者を活用することには一定のリスク回避効果がありますが、同時に注意すべき点も多く存在します。誤った選び方や依頼方法をしてしまうと、意図せず法律違反に巻き込まれる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
まず、宅建業者に依頼することで、個人の売却活動が「業としての行為」に該当する可能性を大幅に軽減することができます。これは、売却活動の主体が免許を持つ専門事業者に移ることで、反復継続性の評価基準の一部が業者側に適用されるからです。ただし、これは依頼の方法や契約内容によって大きく異なるため、業者との関係性や契約の種類に注目する必要があります。
以下に、宅建業者への依頼時に確認しておくべき主要な項目を整理します。
確認項目 | 内容と注意点 |
免許番号の有無 | 国土交通省または都道府県から交付された正式な免許番号があるかを確認 |
媒介契約の種類 | 専属専任・専任・一般のいずれかに分類され、仲介権限や報告義務が異なる |
売却活動の範囲 | 自社サイト掲載、レインズ登録、不特定多数への広告活動の有無など |
手数料体系 | 成約時報酬としての仲介手数料の上限(売買価格×3%+6万円)が適正か |
売却後の責任分担 | 契約不適合責任や売主側の負担をどう扱うか、明文化されているか |
特に媒介契約の選択は、反復継続と判断されないための重要なファクターです。例えば、専属専任媒介契約では、依頼者自身による買主探しは禁じられており、業者を介してのみ契約成立が可能となるため、より確実に「業者主導の売却」として認識されます。一方、一般媒介では自己努力も併用できるため、売却の頻度が高まると「業として」の印象を持たれる可能性があります。
また、反復継続性を問われるリスクを低下させるには、以下のような対応が推奨されます。
- 毎回異なる宅建業者へ依頼せず、一貫性のある業者に任せることで営利性を低下させる印象を与える
- 売却理由を明文化し、契約書類に生活上やむを得ない事情があったことを記載する
- 成約時の収益が目的ではないことを、媒介報告書などで補足しておく
- 反復性が疑われるような取引履歴は、あらかじめ宅建業者に相談しておく
不動産会社の中には、個人の事情に寄り添った対応をしてくれるところも多く、適切な相談先を選ぶことで反復継続の懸念を回避できます。特に、過去に複数回売却歴がある場合は、その履歴を隠すのではなく、明確に説明した上で対応策を業者と協議しておくと、法的トラブルの予防になります。
不動産売却は一見すると単純な資産整理のように見えても、その頻度や目的によっては「宅地建物取引業法」の枠組み内に入り込むおそれがある行為です。だからこそ、専門業者との契約が適切に機能するよう、依頼の段階から意図と情報を共有することが非常に重要です。
個人間売買と名義の扱い
反復継続とされないためには、売却の形式にも注意が必要です。特に個人間売買では、仲介業者を介さないことで費用が抑えられる一方、名義の扱いや契約方法を誤ると、「業として」の行為とみなされやすくなります。名義の使い方ひとつで売却意図が誤解され、法的なリスクを負うことになる可能性があります。
個人間売買とは、不動産会社を仲介に入れず、売主と買主が直接交渉し契約を交わす形態を指します。この方法では、仲介手数料が発生しないためコスト面でのメリットがありますが、契約の公正性、情報の非対称性、トラブル対応などの観点から注意すべき点が多くあります。特に注意が必要なのが「名義貸し」や「名義ロンダリング」といった手法です。
以下に、名義に関して誤解されやすいケースを表にまとめます。
名義の扱い方 | 内容と法的リスク |
他人名義を借りて売却 | 実質的に売主が別にいると判断された場合、媒介や代理とみなされ宅建業法違反に該当する |
名義変更後すぐに売却 | 利益目的の転売と見なされる可能性があり、反復継続性が問われやすい |
親族名義で保有し、自分が売却 | 無免許での代理行為と見なされる場合がある |
名義を分割して複数人で売却 | 複数回の売却を回避するための偽装と判断されるリスク |
売却行為の正当性を担保するためには、物件の名義が実際の売却者と一致していることが大前提となります。たとえ親族間での協力であっても、繰り返し第三者へ売却しているようなケースでは「形式だけの所有者」と見なされ、実態は業者による取引と判断されることもあります。
また、近年では名義変更を活用した不動産投資スキームが注目されており、税務署や宅建業監督機関による監視も強化されています。たとえば、相続した物件を名義変更せずに売却しようとした場合、登記上の所有者と契約者の食い違いから不動産取引の正当性が問われ、最悪の場合は契約無効となるリスクもあります。
名義に関する誤解を避けるために、以下のような対応を行うことが推奨されます。
- 売却の前に必ず登記簿謄本を確認し、名義と所有権を一致させる
- 名義変更が発生する場合には、事前に司法書士など専門家と連携を取る
- 同一名義で短期間に複数回の売却がある場合、その目的と履歴を明示して正当性を説明できる状態にしておく
- 共有名義での売却時には、必ず他の名義人の同意と承諾書を取得する
名義の問題は、単なる形式の話ではなく、売買契約の有効性や合法性に直結する非常に重要な要素です。個人間取引であっても、公的書類を活用した適正な手続きを踏むことで、反復継続とみなされるリスクを減少させることが可能です。
不動産取引は高額であるがゆえに、些細なミスや誤解が大きな法的責任へと発展する可能性を含んでいます。特に個人間売買では、第三者のチェック機能が働かない分、名義・契約内容・取引の透明性がより重要となることを強く意識するべきです。正確な名義管理こそが、反復継続リスクから自分を守る鍵になるのです。
不動産の売却を進める上で配慮したい事項
税制や契約時の条件整理
不動産売却を検討する際に最も重要な要素の一つが「税制」と「契約時の諸条件」です。とくに個人が所有する土地や建物の売却においては、適用される税法の種類や控除要件の把握が、納税額を大きく左右します。ここでは、読者が実際に売却を行う前に理解しておきたい税務面の配慮点と、契約時に確認すべき条件について詳しく解説します。
まず、不動産売却により得られる利益(譲渡所得)には、原則として所得税と住民税が課税されます。この際の課税対象は、以下のように算出されます。
譲渡所得の計算式(概要)
項目 | 内容 |
売却価格 | 実際に不動産を売却した金額 |
取得費 | 購入時の代金+購入にかかった諸経費 |
譲渡費用 | 売却に際して発生した仲介手数料等の費用 |
譲渡所得 | 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用 |
この計算のなかでポイントとなるのが「取得費の認定」です。古い物件の場合、購入時の資料が残っていないことも多く、国税庁では「概算取得費(売却価格の5%)」の適用を認めています。しかし、実際の取得費が明らかである場合は、その額を用いたほうが節税に繋がる可能性が高くなります。
次に、売却時期によって「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」の区別があり、所有期間5年を境に税率が大きく異なります。
譲渡所得の区分と税率の違い
所有期間 | 区分 | 所得税率(復興特別所得税含) | 住民税率 |
5年以下 | 短期譲渡所得 | 約30.63% | 9% |
5年超 | 長期譲渡所得 | 約15.315% | 5% |
また、自宅として使用していた物件については、「3000万円の特別控除」や「軽減税率の特例」など、売却益を大幅に減らす措置も用意されています。これらの適用条件には、住居としての利用状況や売却後の利用計画など、細かな規定が存在するため、事前の確認が不可欠です。
契約時には、以下のような条項のチェックが肝心です。
契約時に確認すべき主な条件
- 手付金の額と放棄・違約解除の条件
- 瑕疵担保責任の期間や内容(契約不適合責任への移行にも注意)
- 引き渡し日の調整と条件(住み替えと並行する場合は特に注意)
- 物件内の残置物処理や修繕義務
- 売主としての告知義務(雨漏り・シロアリ被害・近隣トラブル等)
これらを曖昧なまま契約すると、売却後のトラブルに発展することがあります。特に個人間売買や、知人を相手にする売却では「暗黙の了解」がトラブルの火種となるため、文書化と法的確認を怠らない姿勢が重要です。
専門家である税理士・司法書士・宅地建物取引士の協力を得ることで、税務面と契約条件の双方でトラブルを回避しながら、安全かつ有利に売却を進めることができます。
所有物件の状況に応じた確認
不動産の売却を成功させるためには、物件そのものの状況を冷静に分析し、事前準備を万全に整えておく必要があります。見落とされがちですが、所有している物件の種別や用途、築年数、土地の形状、用途地域といった物理的・法的な条件が、査定額だけでなく売却期間やリスクにも影響を及ぼします。
まず、不動産には「戸建て」「マンション」「土地」など複数の種別がありますが、それぞれにおいて売却時の確認ポイントは異なります。以下の表をご覧ください。
物件種別ごとの主な確認項目
種別 | チェックポイント |
戸建て | 築年数、シロアリ被害、雨漏り、越境、増改築記録 |
マンション | 管理費・修繕積立金の滞納、管理組合の運営状況 |
土地 | 境界標の有無、接道義務、地目、上下水道の整備状況 |
特に築年数の経過した戸建ては、インスペクション(建物状況調査)を事前に実施しておくと、買主にとっての信頼性が増し、売却成約率を高める効果があります。
また、土地の売却に際しては「道路に接しているかどうか」「建築基準法上の接道義務を満たしているか」などが問われ、都市計画法や用途地域によっては建築の可否・容積率にも影響します。これにより「再建築不可」とされる土地は評価が大きく下がるため、事前の法令調査が不可欠です。
さらに、以下のような物件属性も売却活動に影響します。
- 相続した物件で登記が自分名義でない
- 借地権付き物件で地主との調整が必要
- 空き家で管理が行き届いていない
- 収益物件として賃貸中で立退きが必要
これらの状況に応じた対応方針は、売却計画の初期段階で整理しておくことが推奨されます。とくに相続物件では「登記変更」「相続税評価額」「物納制度」なども絡んでくるため、相続税の申告経験が豊富な税理士の助言が不可欠です。
一方、マンション売却時には「管理規約による制限」も重要です。例えばペット飼育・事務所利用・リフォーム制限などがある場合、買主が思わぬ制限に不満を持つケースもあります。売却前に管理規約を精査し、制限内容を明示することで、トラブルを防止できます。
最終的に、物件ごとの状況整理を怠らないことが、査定価格の適正化と売却プロセスのスムーズな進行に直結します。地域性や市場動向にも目を配り、専門家の助言を活用して、売却時の不確定要素を最小限に抑える努力が不可欠です。
まとめ
不動産売却を何度か経験している方の中には、それが「反復継続」と判断され、宅地建物取引業法に抵触してしまう可能性に気づいていない人も少なくありません。実際に、短期間で複数の物件を売却した個人が、無免許営業と判断され、懲役や罰金といった罰則を科された事例も報告されています。
国土交通省のガイドラインでは、「反復継続性があるかどうか」は売却の回数、期間、利益性、目的、取得手段などを総合的に評価するとされています。つまり、一概に「年に3回以上だから違反」といった明確な基準はなく、ケースバイケースで慎重な判断が求められます。
「何度も物件を売却しているけれど、これは違反になるのか」「相続した不動産を短期間で処分したらどうなるのか」といった不安を感じている方にとって、本記事で紹介した内容は非常に重要なチェックポイントになります。特に、免許を持たない個人が利益目的で複数の不動産を売買する行為には厳しい視線が向けられており、知らずに法に触れてしまうリスクは確実に存在します。
違法性を回避し、安全に取引を進めるためには、売却目的の明確化や記録の整理、そして宅建業者への適切な相談が欠かせません。今後の不動産取引で損失や処罰のリスクを避けたいとお考えの方は、専門家の助言を受けながら慎重に進めることが最も現実的な対策です。
「知らなかった」では済まされないルールが存在するからこそ、正しい情報を把握し、自身のケースに照らして確認していく姿勢が重要です。反復継続の判断に関する本記事の内容を活用し、ぜひ安全で安心な不動産売却を実現してください。
株式会社アイホームは、不動産売買・仲介・賃貸管理を主な業務として、お客様の多様なニーズにお応えしております。特に不動産売却においては、経験豊富なスタッフが物件の査定から売却活動、契約手続きまで丁寧にサポートいたします。また、税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナー、相続診断士とも連携し、税務や法律に関するご相談にも対応可能です。お客様の大切な資産の売却を安心してお任せいただけるよう、全力でサポートいたします。
株式会社アイホーム | |
---|---|
住所 | 〒657-0029兵庫県神戸市灘区日尾町1丁目2-9 |
電話 | 078-200-5533 |
よくある質問
Q.同じ不動産を複数回売却すると「反復継続」と判断されますか?どれくらいの回数から違法になるのでしょうか?
A.「何度も売却したら違法」と一概に決まっているわけではありませんが、一般的には1年以内に3回以上の不動産売却を行うと、「反復継続」と判断される可能性が高まります。特に利益目的、継続的な取引と見なされる場合は注意が必要です。宅地建物取引業法においては、回数・期間・売却の動機などの総合的な判断がなされます。過去には1年間に4回の物件売却を行った個人が、無免許営業と判断された事例も存在しています。
Q.家族間での売買も「反復継続」に該当するのでしょうか?
A.たとえ家族間の不動産売却であっても、回数や意図によっては「反復継続」の対象になる可能性があります。特に相続した土地を兄弟姉妹で分割し、短期間に複数回売却したケースなどでは、営利目的でなくても宅建業法違反と判断された事例があります。売却の「相手」が家族であるかどうかではなく、売却の回数・期間・取引の態様などが審査のポイントとなります。税務調査でも贈与税や譲渡所得の観点から指摘を受ける可能性があるため、慎重な対応が求められます。
Q.不動産会社に任せれば、反復継続の判断は気にしなくていいですか?
A.不動産会社を通じた仲介や媒介でも、売主が個人で反復継続して売却行為を行っていると判断される場合、免許の有無や契約形態にかかわらず宅建業法違反となる可能性があります。例えば短期間に複数の不動産会社へ依頼し、一括で販売を進める行為は、取引回数と継続性が重視される要素となります。また、不動産会社にも確認義務があるため、売主の売却履歴をもとに免許の取得が必要かどうかを判断するアドバイスを受けるのが現実的な対策です。安心・安全な取引のためには、初回相談の段階から反復継続の判断基準について丁寧に検討することが重要です。
会社概要
会社名・・・株式会社アイホーム
所在地・・・〒657-0029 兵庫県神戸市灘区日尾町1丁目2-9
電話番号・・・078-200-5533